<コラム1> 2011.2.1

 

ロジャーズの人間中心授業の思い出

畠瀬 稔

 

 私は1967年3月から2年間、ロジャーズのもとへ留学した。その4月からロジャーズの博士課程の授業に参加することを許された。渡米前、ロージアズ全集第5巻『カウンセリングと教育』の翻訳原稿を出版社へ送った直後であり、その第4章のタネンバウムのロジャーズ講座体験記を読んでいた。それはブランダイズ大学の夏期講座へ高名な教育学教授タネンバウム博士が若い学生に混じって受講し、その体験記を書いたものである。          

 

 それによれば、ロジャーズは”学生中心の講座”を目指して進むが、学生たちはロジャーズ中心の運営を期待し、4回目までは軌道に乗らず、5回目ごろからやっとロジャーズも学生も“真の自己”を顕し、やがて講師中心ではない、真の学習過程が展開していったものであった。

 

 ところが、今回はタネンバウムの報告とはまったく異なっていた。講義題目は、“Values in Human Behavior”(including Sensitivity Training)。

 

 第1回の3時間はオリエンテーション。全29名の自己紹介。文献リストへの追加提案。今後のオリエンテーション。

 第2回は、3週後の金曜日19時30分~22時30分。[グロリアと3人のセラピスト]のロジャーズ編を30分視聴。30分感想交換.この後3小グループに分かれて、エンカウンター・グループ(以下EGと略す)。ファシリテーターはロジャーズのもとで研修中の博士号所有者3名。土曜日9時~18時、日曜日9時~正午のEG継続。
 第3回目は、3週後再び金曜日19時30分~日曜日正午の小グループEG。
 第4回目は3週後の土曜日の9時~正午の29人全員の大グループ。感想、質疑、討論、意見の交流。この後、レポートと自己評価の提出が求められた。

 

 ロジャーズは第2回に行ったEGでは、自分の時間を3等分して,各小グループに順時参加したが、自分が入ると小グループの雰囲気が変わりすぎるので、第3回からは全員の会合時のみに参加することに変更した。

 

 全体を通じて、価値観と自己の行動の関係を抽象的に論ずるより、自分の価値観がどのような性質のものであり、それが自分の行動にどのように関係しているかの体験的自己理解を中心に進行したように思った。受講者の主体性、学習者中心性が十分発揮されていた。

 

 この感想をロジャーズに話すと、”以前とっていた方法は、初期の学生たちの抵抗が大きく、それを乗り越えると効果的だが,今度の方法のほうが早く初期の目的を達成できそうだ”と答えてくれた。ロジャーズは常に新しい試行に挑戦し続けることを感じた。

 

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