<コラム40> 2021.10

 


新たな風LGBTQ+

金沢レインボープライド・パレードに寄せて

村田 進


人間関係研究会の隣接領域の一つとして今流行のLGBTQ+の運動の考えがあると思う。

 

筆者は、金沢心の電話の代表として、日本で初めての企画事業としてLGBTQ+レインボープライド運動と北陸地区の自殺防止連絡協議会の立場から発表させていただいた。(10/9,金沢大学サテライトキャンパス、金沢市西町教育研究所)北陸地区代表の富山大学の林教授のプレゼンテーションの後、大会参加者と全国につながるネット視聴者を前に、翌日に日本で初めて行われるという全国レインボーパレード(金沢市を皮切りに次回の開催地の札幌市へとバトンタッチされる大規模なレインボープライド企画、主催者:松中権)を前に、私は、次のように語りかけていた。「LGBTQ+の考えは、パーソンセンタードの考えに親和性があり、その根拠たるC.ロジャーズの「不一致の図」で表される有機体経験(organism)と自己概念(self-concept)のズレが「交差・一致」に向かうそのレジリエンスの「中心過程は、LGBTQ+がセクシュアリティを決める要素として挙げている身体的性(sex)と性自認(gender Identity)、性的指向(sexual orientation)と性表現(gender expression)の2軸と軌を一にしているのではないかという仮説を提起して、性の多様性を中心に据える考え方を主張した。そのように考えれば、人間が一人一人違うように、人間の性も一人一人違っていいのではないかと考えられて、それが新しい時代の「不知の拓け」(ジェンドリン)をもたらすものではないだろうか」と。翌日の金沢市街のパレードは、長蛇の列の中で行われ、個人が自己の性を受け入れる「自分らしさ」と「プライド」(自尊感情)の旗印を高々と掲げたインパクトのあるものであった。

性の不条理に悩んだ末の自死選択者の心理なる死を望む人には生への願いが等しく在るという「両価性」の中に答えはあるであろう。自分自身に傾聴してみるのである。その時、ボブ・ディランが「答えは風の中にある」と唄った反戦の精神が生への問いかけとなって蘇り、当事者を思いとどまらせてくれるかもしれないのである。

 

市中をうねり歩くレインボープライドの新しい風の答えは、私たち一人一人の生と性の在り方をも問いかけながらまぎれもなくLGBTQ+がつなぐ人々の絆の中心にあった。