<コラム22> 2014.6

親密さと孤独と

髙橋 紀子 

 その昔、大事な人たちが次々と亡くなった時期があって、思えばそれからというもの、人と親密になるのがほとほと嫌になった。出会わなければ別れもない。一緒に暮らせるほ乳類は猫が精一杯。いつしか生活を共にするような親密な付き合いは極力避けるようになった。

 

 福島に住居を移し、被災地支援が日常となり、毎週のように誰かの死に触れる。少しでも自死を防げるようにと心を尽くしつつ、人はいつ死ぬかわからないという現実からも目をそらせなくなった。そう。別れはいつ訪れるかわからない。

 

 人との出会いが有限であることを実感する生活の中、これまで脇においていた、人と親密になることからも目をそらせなくなった。親密な誰かがいないと、思いをわかちあえる人がいないと、やりきれないことが多すぎる。

 

 そんな時に第39回木村伊兵衛写真賞を受賞した森栄喜さんの写真集『intimacy』を知った。この写真集には森さんの恋人や友人との日常がある。森さんは同性愛で、この写真の中には男の人たちしかおらず、そのせいなのか関係ないのか、写真の中の男の人たちのまなざしは、とても脱力していて柔らかくて、おそろしく悲しい。人を愛しく思う時や愛しい人と一緒にいる時の、どうしようもない孤独が刺さってくる。

 

 彼らを見て気づいた。私は人と親密になるのを避けることで、孤独を避けてきた。

 

 エンカウンター・グループという枠組みの中ではなく、生き方として、私は人と出会うことそして親密になることの意味を考え直す時期に来ている。日々の生活の中で出会う人たちとどれだけ向き合えるか。その一期一会を、その孤独をどこまで真摯に抱えられるか。どこまでできるかわからないけれど、人生の正念場であると思う。

 

 こんな時にPCAを通じて知り合った仲間がいることはとても心強い。