<コラム29> 2019.7

 

エンカウンターグループと私

 

横山 直子

 学生時代はサイコドラマに夢中だった。社会人になっても続ける中、サイコドラマのグループで何とも嫌な思いを経験した。参加する誰もが大切にされるグループはないのだろうか…。そんな思いで久しぶりに恩師の研究室を訪ねた。渡されたのが人間関係研究会のパンフレット。今から間に合いそうないくつかのワークショップに丸が付いていた。それが恩師の“無言のメッセージ”。

「誘い合わずに一人で」「できるだけ遠くに」「年に数回は参加を」かけられた言葉に背中を押されて授業で経験して以来のエンカウンターグループに参加した。

 

 あの時からエンカウンターグループは私にとって大事な場所になっている。

からっぽな自分との出会い、そんな自分が受け入れられるという経験、人への信頼やお互いの可能性を確信できるようになった。

スタッフとしてエンカウンターグループのお手伝いをするようになり、人がより自分の可能性を信じ、発揮できるようになれたらと思っている。

 

 サイコドラマはサイコドラマのよさがあった。あの頃はグループを嫌いになりたくなくて「グループっていいな」という体験をさせてくれるエンカウンターグループの場が、私には必要だった。

今はエンカウンターグループを通じて「人間っていいな」と思うことが多い。自分自身や人間に対する信頼の大切さをエンカウンターグループは教えてくれているかもしれない。